■ 【人生とお金】 社員を奮起させる「心の報酬」とは(第3回)

  みなさん、こんにちは。

  さて、今回で最後となる第3回目は、前回より継続した内容と
  なりますので、ご覧になっていない方は下記を先にご覧ください。

  ■【人生とお金】社員を奮起させる「心の報酬」とは(第1回)  
   ■【人生とお金】社員を奮起させる「心の報酬」とは(第2回)  

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  さて、これまでお話してきたとおり、景気が悪い中でも売り上げをあげるためには、
  社員のモチベーションのコントロールが必要なのはご理解のとおりですね。

  その中で重要なポイントは何か、についての解のひとつに、
  「モチベーションが飛躍的に高まる上司の物語力」があげられます。

  ◎社員のモチベーションを飛躍的に高めるには、上司の「物語力」が必要。

  みなさんが所属する組織や、その組織のリーダーが掲げた思想に共鳴することにより、
  みなさんはやる気を高めることできた、そのような経験はありませんか?。
  
  「上司の物語力」のひとつに込められるべき要素のひとつめ、
   これを言わば、「理念的インセンティブ」といいます。

  例えば、「私たちの会社は社会貢献を果たすために、こういうサービスをこういう人々に
  提供していく」という道しるべや、「3年後にはこんな組織になっていたい」などの目標などが、
  ここでいう理念に含まれます。
  
  そのような、理念的なものが、上司による「物語力」に共鳴すると、受け手は、
  「私は正しいことをしている、意義のあることをしている」という感覚を持てるのです。

  そして、正しいと思える価値観を持って働くときには、個々人のモチベーションは飛躍的に
  高まってゆき、結果やる気の向上に繋がるのです。

  このことを活用し、こういう難局のときこそリーダー/管理者たる者は、
  組織の存在意義をいま一度明確にし、向こう数年間はこういう戦略で
  戦っていこうというビジョンを打ち出すことが求めらます。

  給与アップや出世に期待できないからこそ、それでも頑張る意味を共鳴するよう
  提示することが必要なのです。

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  また、社員のモチベーションのコントロール必要な昨今で重要なポイントは、

  ◎社員が最大限に力を発揮できる仕事を創造すること。

  景気の後退により売り上げが少なくなるということは、それに伴って仕事も
  徐々に減っていくことにもなります。

  残業が減るという点では、これはこれで歓迎としている組織もあるでしょうが、
  この状態があまり長く続くと自己実現的インセンティブという観点からは、
  マイナスの効果が大きくなってきます。
 
  これは、「仕事そのものが面白い」「自分の持てる力を最大限に発揮している」などの感情を
  持つとき、人のやる気は高まるというものです。

  リーダー/管理者はそのために何をすればいいのか。いくつか方法はあるでしょうが、
  その一つは、新しい仕事をつくり出すことである。同じことの繰り返しや、
  既存の仕事の効率化だけでは、モチベーションを上げるのに限界があります。
 
  たとえば営業組織であれば、営業員による新規開拓プロジェクト、マーケティングセミナーの
  企画と実施など、新たなテーマを設定して、売上という営業部門が創出すべき価値に結びつく
  仕事をつくります。

  新たなテーマにもとづく仕事を担うメンバーを集め、成果達成のためのアイデアだしから
  実行までを任せることができれば、効果的。
  
  人は新しい仕事に自分のアイデアを活かしながら従事できるとき、仕事が面白く感じられるからです

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  以上、「賞与ゼロ・昇給なし」など金銭的インセンティブが限界になるなかでの、
  優秀な若手社員のモチベーション維持および向上の方法を述べてきました。

  最後に、これらのインセンティブに共通の重要な要素があるのでそれを紹介します。
  
  それは極めて言い古した感のある言葉ですが、
  「リーダー/管理者はメンバーとのコミュニケーションをしっかりとる」ということにあります。

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 ・「上司の評価力」も、ただむやみに褒めればいいというものではない。
  何がどうよいのかという丁寧でかつ誰もが理解しやすい説明が必要になる。
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 ・「上司の魅力」も、後ろ姿だけを示せばいいということではない、
  コミュニケーションを通した信頼関係の構築がなければ、
  そもそも人的魅力などは(少なくともメンバーには)伝わらない。
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 ・「上司の物語力」もまた然り、言語化できなければ、理念にすらならない。
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 ・「上司の仕事創造力」の向上のためには、部下メンバーの特性をおさえておくことが必要だが、
  そのためにも日頃のコミュニケーションを通して部下のことを理解しておくことが必要である。
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  このように、コミュニケーションのとり方やその中身はメンバーにインセンティブを
  与えるためにも重要ですが、実はそれだけではありません。

  メンバーとの接触を通して、リーダー/管理者自身が、自分の役割や責任を再確認できたり、
  新しいアイデアを思いついたりするという大きな効果が期待できます。

  他者とのコミュニケーションは、自分の考えを整理するためにも有効ですが、
  それ以外にも「彼ら彼女らのためにも自分が先にあきらめてどうする」であったり、
 「なるほど、現場では今そのような問題意識を持っているのか」という認識の変化は、
  この会話から生まれることがよくあります。

  それは、何かを打破しようと前向きに頑張るリーダー/管理者にとっては、
  こういうご時勢で沈みがちな自身の気持ちを鼓舞し、
  その背中を押してくれることにもつながるのです。

  部下メンバーのためでもなく、会社のためでもなく、
  むしろリーダーは自分自身のリーダーシップの成長のために
  コミュニケーションをとるという発想を持つほうがよいでしょう。

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  さて総括ですが、このように、景気が悪い中でも売り上げをあげるには、
  社員のモチベーションのコントロールが必要。
  
  そのためには、上司の物語力や、新しい仕事の創出というものが重要。
  しかしこれらを推進してゆくリーダーには、やはり魅力が必要です。
  その魅力の源泉とは、必ずしも優しさや誠実さといったものではなく、
  リーダー自身が成長し続ける姿をみせ、率先するといった、行動です。
  
  これにより、部下メンバーの「この人のもとで一致団結して不況を乗り越えよう」という
  勇気の源泉になることでしょう。

  そしてまさしく、様々な産業はもとより、日本全体で、このリーダーシップが求められている
  のではないでしょうか。

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