■ 【人生とお金】 社員を奮起させる「心の報酬」とは(第2回)
みなさん、こんにちは。 前回に引き続き2回目の今回も「社員を奮起させる心の報酬」を テーマにお話をしてゆきます。 前回から継続したお話になっていますので、ご覧になっていない方 はこちらを先にご覧ください。 ■ 【人生とお金】社員を奮起させる「心の報酬」とは(第1回) ◎ 人は“パン”よりも時に“評価”によって満たされる 企業組織が社員に与えることのできるインセンティブのなかに、「評価的インセンティブ」と いうものがあります。 これは人々の行動を、組織が何かしらの形で賞賛することによって意欲を高めようとするもの。 直ぐに実践できることとしては、職場のリーダー/管理者が、個人の行動のうち、 素晴らしいと思えるものを皆の前で惜しみなく賞賛するというのが挙げられます。 この場合、「褒めても人事考課およびそれに基づく賞与や給与の増加で報いてあげることが できないのでは」という不安もよぎるでしょうが、実はこれはあまり気にする必要はありません。 人は決して「パン」のみのために働くのではないからして、 人事考課や報酬が伴わなくても、 「他者の役に立つ自分でありたい」という欲求が満たされることによって、 仕事に前向きに取り組める可能性は高まるからです。 また、この評価的インセンティブとは、リーダー/管理者が直接行う評価(=褒めるなど)だけ ではなく、メンバー同士で褒めあいたたえあうことも含まれます。 「自分は何か有益なことを成し遂げたという達成感を持ちたい、そして、その達成を認めてくれる 仲間に恵まれたい」という欲求を、仕事のできる人間ほど、経験上強く持っている、 そういうものでしょう。 その欲求を満たしてもらえる限り、そう簡単には人はその組織を去ろうとしないし、 報酬に納得できなくてもモチベーションを落とさず頑張ることができるのです。 社員一人ひとりが、毎日同僚の誰かに、 「昨日、Aさんにこのようなことをしてもらいました。ありがとうございました」 という感謝の気持ちを伝える場をつくった職場がありますが、この例などは、 社員同士で「評価的インセンティブ」を与えあっていることになるので、一定の効果が期待できます。 しかし、このような「お互いを褒めあう自然な雰囲気」をつくっていくのは、 職場のリーダー/管理者によるところが大きいのはご理解いただけると思います。 つまり、工夫のある「上司の評可力」が極めて重要なのです。 ここれで申し上げたい「インセンティブ」のなかには、 ここでの「上司」の例に関連するような、「人的インセンティブ」というものもあります。 これは、組織を率いる人間(=リーダー)に「この人と一緒に働きたい」と思わせる力があれば、 それがその組織で働く人の意欲の源泉になるというものです。 「この人のためなら一肌脱ごう」と思わせるリーダーのもとでは、 報酬に対する不満があっても、モチベーションを高く維持したまま働くことができるため、 リーダーがメンバーにとって魅力的な存在であることは極めて重要になってくるわけであります。 当該読者さんも、そのようなご経験はきっとおありでしょう。 では、その人的インセンティブを活用したいため、なんとかしようといっても、 もちろん、この人間的魅力を高めるのは簡単なことではないでしょうし、 一朝一夕にできることでもないことでしょう。 しかしながら、必ずし華があってカッコいいといった、外見や立ち振る舞いのみが、 この人的インセンティブになるわけではありません。 例えば、「何事にも誠実に対応し、部下メンバーの成長を心から願う」など、 私欲を捨てて愚直に行動することで少しずつ養われていくものではないでしょうか。 そして同時に、この「魅力」はリーダー/管理者だけに求められるものでもないのです。 「この組織にはどのような人が集まっているのか」「そこでどのような関係が持てるようなったか」 など、同僚にも求められるものです。つまり、人間としての魅力であります。 このような人的インセンティブは、 報酬は低いし人事考課に納得できないが、辞めるとまでは思わないという社員が多くいる組織。 そのような組織を率いるリーダー/管理者は、仕事の担当を決めながら、相互の協力がスムーズに いくような仕組みをつくったり、そうした情報を交換する行為を評価することが必要になってくるでし ょう。 また、職場内のサークルや同好会、歓迎会や忘年会などの職場でのイベント、 ちょっとした飲み会などは、長らく敬遠される傾向にあったが、人的インセンティブを つくり出す土壌を形成するためには、有効な施策でもあることで、最近では復活することが よくあるようです。 少し長くなりましたが、また次回、考察を深めてゆきましょう。 ではまた次回。
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