■ 【賢者的考察】 「ポジティブでいると人生が開ける理由」
    
 
  みなさん、こんにちは。
 いかがお過ごしでしょうか。

 さて今回は、良く聞く言葉「ポジティブ」について、考察したいと思います。
 ここ日本でも、「ポジティブ精神」「ポジティブシンキング」など、良い意味合いで
 使われることの多いこの言葉、「前向き」と捉えられることが多いと思いますが、 
 実のところ、あいまいな概念であると捉えられています。
 
 さて、その中にあって、より深く「ポジティブ」について研究を行なってきた学者がいます。 
 世の中には様々な事を研究対象としている学者がいるものですね。
 今回は、その学者による研究結果を踏まえ、「ポジティブ」について考察をしてゆきたいと思います。

 Fredrickson氏という、米国の大学で研究をおこなってきた学者によると、ポジティブシンキングと、
 その思考がスキルに及ぼす影響について、驚くべき知見を見られたといいます。

 ◇ポジティブな考え方が脳に及ぼす影響
 
 この学者は、ポジティブな感情が脳にどのような影響を及ぼすかを調べるための実験を行いました。
 被験者を5つのグループに分け、各グループにそろぞれ異なる動画を見せたのです。

 5つのうち、最初の2つのグループに見せたのは、ポジティブな感情が生まれるような動画です。

 グループ1は、喜びがわいてくるような動画を、
 グループ2は、心の安らぎを感じるような動画、
 グループ3は、たいした感情を呼び起こさないニュートラルな動画、
 グループ4は、恐怖を感じるような動画、
 グループ5は、怒りを感じるような動画を見ました。

 次に各被験者は、動画と同じような感情を生じさせる局面に遭遇した時、自分だったらどうしたいか
 書くよう求められました。埋めた文字数がもっとも少なかったのは、恐怖や怒りを引き起こす動画を
 見た被験者たちでした。一方、喜びや安らぎを感じさせる動画を見た被験者たちは、「したいこと」の
 書き留めた数が、ニュートラルな動画を見たグループと比べても著しく多かったのです。

 言い方を変えると、喜びや安らぎ、愛といったポジティブな感情に浸っている時、人は人生の中に
 より多くの可能性を見出すのです。ポジティブな感情によって可能性を見出す力が強まり、より多く
 の選択肢を意識できるということになります。そして、「ポジティブ」がキッカケになり、あなたによって
 良い事象をもたらします。

 それは、

 ◇ポジティブシンキングがもたらすスキルの向上

 ポジティブな感情の影響は、その感情が消えると同時になくなるものではありません。
 むしろ、ポジティブな感情がもたらす最大の影響と言えるのは、今後の人生でも役に立つスキルを身に
 つけたり資質を育てたりする能力の向上です。実際の例を考えてみましょう。

 木にぶら下がったり友だちと遊んだり、屋外を走り回る子どもは、元気よく動き回る能力(身体的スキル)、
 他人と一緒に遊んで仲間と意思疎通する能力(社会的スキル)、そして身の回りの世界を探検して調べる
 能力(創造的スキル)が発達します。

 その子どもは、楽しさや喜びといったポジティブな感情を通じて日常生活で役に立つスキルを磨くのです。

 このようなスキルは、元となった楽しさや喜びといった感情よりもずっとあとまで残ります。
 つまり、新しいスキルを探求して身につける際の原動力となった幸福感が消えてしまっても、
 スキルそのものは、のちのちまで存在し続けます。

 しかし、ネガティブな感情はまったく逆の働きをします。なぜかと言えば、危険が目前に迫っている時に
 例えば行く手にトラが待ち構えている時は、将来役に立つスキルの形成など問題でないからです。

 この研究から、根本的な疑問が芽生えてきます。ポジティブシンキングが、有用なスキルを磨いたり、
 人生の全体像を思い描いたりするのに役立つというのなら、ポジティブになるにはどうすれば良いか。
 
 ◇ポジティブでいるための3つの方法

 ポジティブになるカギとなるのは、喜びや安らぎ、愛といった感情を引き起こすさまざまな行動です。
 どういった行動が自分にとって良いのか、それはあなた自身がよく知っているはずです。
 それは、ギターの演奏かもしれません。あるいは、特定の相手と過ごす時間や、木彫りをすることかも
 しれませんね。


 ではここでは、役に立ちそうな、キッカケとなりそうなアイデアを3つ例示してみましょう。

 1. 瞑想:  実験によると、毎日瞑想した被験者グループは、しなかったグループよりもポジティブな
 感情が豊かであるとわかりました。このことから予想される通り、瞑想したグループのほうが、価値の
 高い永続的なスキルを身につけていました。

 2. 遊び: 遊びの時間を生活の中に組み込みましょう。ミーティングや電話会議、週1回のイベントなど、
 仕事上でやらなければならないことについてはスケジュールを立てますよね。当然です。ですが、遊びの
 時間についてもスケジュールを立ててみましょう。遊びや探検の時間をスケジュールに組み込んで、心の
 安らぎや喜びを味わいましょう。それは最終的に、新しいスキルの探求と形成につながることでしょう。

 ◇さあ、この知見を日常生活で活かしましょう。

 このように、「ポジティブ」は聞こえが良いだけのあいまいな言葉ではありません。
 
 確かに、「幸せである」のはそれだけでも素晴らしいことですが、そういう幸せな時間は、心を開いて、
 人生の他の分野で大いに役に立つスキルを探求し、身につけるために不可欠なものでもあるのです。

 人によって変わりますが、日常生活の中で幸福感とポジティブな感情を育てる方法は、一時的にストレスを
 減らせたり笑顔になれたりするだけではない、もっと長期的な効果が得られるのです。

 ポジティブな感情に浸ったり、何物にも邪魔されずに探究心を満たしたりする時間は、過去の経験を将来に
 活かす可能性が見えてくる時です。また、スキルを形成してのちのち有益な才能として開花させるための
 準備期間でもあります。もっと言えば、さらなる探求と冒険を求める衝動に火をつける時でもあります。
 
 つまり、あなたは喜びを求め、よく遊び、冒険を追い求めていれば良いのです。
 以上、学者の研究レポートを元にした考察でした。

 【参考文献】

 The Science of Positive Thinking: How Positive Thoughts Build Skills, Boost Health, 
 and Improve Work | James Clear

  http://jamesclear.com/positive-thinking

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