■ 【賢者的考察】 「グローバル社会での労働意識」

 皆さんこんにちは。

 暑いくらいの陽気の日も続く昨今、
 いかがお過ごしでしょうか。

 さて、先日、ここ日本で行われたG7のサミット。
 その成功可否はともかく、国際社会での日本の役割について、
 意識させられることもあるのではないでしょうか。

 私たちが生活する現代社会は、ITの進歩により、
 以前より簡単に、国際社会の情報を入手できるようになってきました。

 しかしながら、情報を知ることと、体感をするのでは、ワケが違います。
 訪日観光の活況、外国人労働者の増加など、様々な局面で、外国人と時を同じくする機会が
 増えています。

 そこでここでは、グローバル時代における、日本が進むべき労働のあり方をみてみたいと思います。

 労働感は人それぞれですから、様々な考え方があり、正解はひとつではないでしょう。
 ここでは、その労働のあり方のひとつを、知見を持つ方の引用を交えて、考察をしてみましょう。

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 「海外では、日本人=勤勉であると考えられていると日本人は思っているかもしれないが、
  実はそうではない。残念ながら、「日本人はモチベーションが低く、労働生産性も他の先進国と
  比べると低い」 というのが世界では知られつつある現実である。」

 「終身雇用や年功序列、頻繁な人事異動に表れる人事管理への伝統的な日本式アプローチは高度成長期の
 日本では機能していました。しかし、変化が激しいこの時代では機能しなくなってきました。今こそ変革
  が必要です」

 こう語るのは、現在シリコンバレー在住の経営コンサルタントである、ロッシェル・カップ氏。
  職場における異文化コミュニケーションと人事管理を専門とし、現在、北米、日本、ヨーロッパ、
 南米と中国に拠点を置いて、日本企業の海外進 出や海外企業の日本拠点をサポートしている方です。

 日米企業の根本的な違いは、人材の流動性が低い

 日本と欧米の両方の企業文化を長く見てきたカップ氏は、さらに次のように述べます。

 「日本で終身雇用が保障されていた時代は、社内の人材を生かし、知識やスキルを蓄積していく方法は
 うまく機能しました。しかし、どんなに大手でも永続的に安泰ではなくなった今、社外に通用するスキルを
 身につけていることは日本でも必須となっています。」

 そこで同氏は、今の日本社会と似た、米国社会においてリストラが横行した経験を踏まえ、
  今後の日本経済が成長するには、「雇用の保障」から「雇用適性の保障」へと移行する必要があると
  いいます。

 企業側には、「社員がとどまりたいと思う、職場環境の提供」が重要だというわけです。そうすることで、
  社員のやる気を引き出し、企業成長へつなげる狙いがあります。なぜなら、日本企業に在籍する社員の、
  労働への当事者意識(業務関与度)は、低いと捉えているためです。

 米国の調査機関によると、2013年の労働意識調査では、次のような結果になりました。

 ・日本企業の社員で、労働への当事者意識(業務関与度)が高い社員は7%、低い社員は69%。
 ・米国企業の社員で、業務関与度が高い社員は30%、低い社員は52%。
 ・世界の平均でみると、業務関与度が高い社員は、13%、低い社員は63%

 確かに、ゼネラリスト養成へ向けた人事施策などで、自分が興味を持っていない部署へ異動させられると、
 いやいや仕事をやるので、いい結果が出るはずがないのかもしれません。

 一方、労働への当事者意識(業務関与度)が高いという調査結果になった米国では、次のようなやる気の
 引き出し方があるようです。

 「米国では、人がやりたくない仕事でも市場原理が解決してくれます。例えば、勤務先が辺鄙、
  仕事の内容がつまらなくても、会社側が給料を他の部署よりも上げることで、外部からその仕事を
  やりたい人が入ってきます。つまり、マイナスに見える仕事も、何かプラスの要素を足すことで、労働者に
  とって魅力的な仕事へと変えることができ、その仕事に納得したうえで従事する人を生み出せます。」

 こうして、ターゲットである社員のニーズを満足させる、条件や環境を創造し、提供してゆくことで、
 業務関与度を引き上げているといいます。

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 しかし、この「雇用適性の保障」へ移行し、企業成長を実現するためには、企業側の努力以外にも、
 必要な大前提があります。

 それは、私たち労働者が、「プロフェッショナル精神」を持つことです。

 米国では重視される考え方である、「プロフェッショナリズム」という言葉。
 「一人前に働く人がプライドを持って、自分がその専門に対して、最善の仕事をする」精神を
 意味しますが、ゼネラリスト志向の人事制度を遂行してきた日本では、あまりなじんで来なかった言葉の
 ようにも思えます。

 「プロフェッショナリズムを身につけるために、社員が得意なことや今後歩みたいキャリア形成を自分で
  しっかり考え、もっと積極的に自分の夢を見つけて追求できる機会を企業が提供していくことが
 求められます。」

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 どうやら、グローバル社会における日本経済の躍進には、日本企業と私たち労働者が、
 プロフェッショナル人材として成長してゆくことが、キーポイントのひとつとなりそうです。

 プロフェッショナル人材になるためには、より多くのスキル、能力、資格、知見を持つ必要が
   出てきます。たゆまぬ努力が必須となることでしょう。

 来たるグローバル社会での労働について、皆さんは、どのようにお考えでしょうか。

 ぜひ考察を深めてみてください。

 ではまた次回。


 【参考文献】

  会社に尽くすアメリカ人、会社に居座る日本人
   
   -http://president.jp/articles/-/16918

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