■ 【賢者的考察】 「無謀であっていい 」
アメリカの若者が選ぶ多様な実体験 就職企業の人気ランキングで、日本はやはり歴史のある大手が 毎年ずらりと並びます。アメリカでは、グーグルやアップルのように ベンチャーとして大きくなった企業が上位に並び、その後に国務省、 FBI、会計事務所、さらには世界の若者支援、地域活性化を目指す ボランティア団体ピースコープ、NASAと続きます。 そして毎年人気ランキングに食い込んでくるのが、NPO組織である ティーチ・フォー・アメリカです。 このティーチ・フォー・アメリカという組織ですが、大学を卒業して就職が内定した若い人を対象に、 その企業の承諾を得て、2年間ほど最貧地帯の子どもたちを教えるプロジェクトに参加させてくれます。 エリートたちに、多様性と一番厳しい現実を体験させて彼らの成長を促すわけですね。 本当に素晴らしい発想で、僕はすぐ日本でも実現できたらいいと思いますが、残念ながら 日本では教職資格がないと教育現場に赴くことができない。 しかし、どんな企業研修よりも、自分の目で最も厳しい現実を体験し、自分の力で何ができるのかを 考えることは人生に大きなインパクトと指針を与えます。 企業の一員となっても、自分が果たすべき社会的使命についていつも意識することになる。 こうして学んだ自分軸を芯に据えられることが、仕事をする本当の力になっていくと思います。 自分が仕事モデルを作る では、日本で、あなたには何ができるか。 成長体験をお膳立てしてくれるNPOは少ない現状ですから、あなた自身が周囲の反対を押し切って、 思うところに進んでいくことです。今の20代、30代にとって、目の前を歩いている先輩はもうあなたの モデルではない。会社から望まれたことや、親が期待していることより、自身の声を信じて 新しいモデルを作っていくべきだと思います。 そうしないと、10代から20代前半の人に追い越されていくでしょう。彼らは初めから従来型の就職を してこないケースも多い。例えばいきなりバングラデシュに飛び込み、現地のハンドメード力を 活(い)かしてバッグを作り、日本でブランドを確立する人がいる。 また、日本の名物予備校のノウハウを持ち込み、最貧地域でのビデオ授業を可能にして、 ダッカの最高学府に次々と入学させ、「ドラゴン桜」を実現させている日本の大学生もいます。 親や先生たちが唱える安全便利な人生ではなく、自分自身が夢中になれることを選んで、 グッとくる場所に飛び込んでしまう。その方が納得できるんじゃあないでしょうか。 僕はよくゴルフに例えますが、霧が晴れるまで打つのを待っているのではなく、 とりあえず打ってみろと言いたい。どっちがホールなのか、だいたいの方向は分かるのだから、打って、 ボールを探して、また打ってみる。失敗が多くても早くホールアウトして次に挑戦することが大事なのです。 正解を探すのではなく、試行錯誤を重ね数センチでも進んでいく方がいい。 計算するより、一歩を踏み出せ、と。 振り返れば、まだ打たずに風向きを測っている人がいるかもしれない。 それがあなたではないことを祈っています。(談) ---------------------------------------------------------------------------------------------------- : 藤原和博(ふじはら・かずひろ) 1955年東京生まれ。 78年東京大学経済学部卒業後、(株)リクルート入社。96年同社フェローとなる。2003年から5年間、 都内では義務教育初の民間人校長として杉並区立和田中学校校長を務める。 08年、当時の橋下大阪府知事の特別顧問を務めた。 (引用:http://www.asakyu.com/column/?id=1097)
日付0000-00-00 00:00:00