■ 【人生とお金】 「お金の苦労」が消える生き方
 ◎ 引用抜粋元:PRESIDENT 2011年5月30日号
 
   皆さんこんにちは。
  
  さて、今回は、今この時を、生活の「無駄」を見直す機会としを真剣に考えてみましょう。
  今回は、下記のように、作家である「林 望」氏のインタビューを引用し、「人生とお金」を考察します。

  ■ 節約とはケチケチにあらず
 
  僕は、歩く合理主義を自任しておりまして、合理的じゃないことは
  やりたくない。そのためにまず最悪のところから考える。

  もし最悪のことが起こったらどうするか?

  「人生にはどんなことでも起こりうる」というのが僕の信念ですから。

  例えば美術品や骨董品を持っていたとしても、震災で焼けたら
  それきりです。

  不動産も投資のためのマンションを3つも4つも所有していても、
  直下型の地震がきて火の海になったら、一瞬にしてパーになります。

  しかし節約するといっても、ケチケチしみったれたことをやるのは
  よしたほうがいいでしょう。


  幸福を追求するために節約をするのであって、自分の幸福の獲得のためには、役に立たないことはやらない
  合理性を持ちたい。

  自分が何をしたいかをよく考えて、そのために、金を惜しまず使う。

  余計なことには使わない、メリハリが大切です。

  ネガティブにすべてを真っ暗けにして節電、節電って言うのだったら、つまらない。僕は節電と言われたので、
  早速、家中の電球をLEDに取り替えました。そこには投資が必要です。だけれども、

  投資することによって低電力な生活に切り替える。電力不足がなければ踏み切れなかったかもしれない。

  メーカー側もそれを見越して、LED電球は一挙に3分の1に値下がりしました。東芝の4500円の電球が、
  1700円程度になりました。本当にチャンスがきたなと思って前向きにやれば、何の苦もないことですね。

  逆説的になりますが、電力不足の時代だからこそ、電気自動車時代が到来するかもしれません。

  電気自動車を2台持つ時代。1台はクルマとして、もう1台は電力源として。

  なぜならば、電気自動車は走る電池だからです。片方は常に充電しておく。

  そして、充電が終わったほうを動かす。動かして減った分は、今度はまた夜間電力や太陽光などで充電して、
  余った分は売って、ということを繰り返すのです。スマートグリッド技術もマイクロソフトやトヨタとか、
  いろいろな会社が手がけていて、ほぼ実用化のレベルに近づいています。

  いま日本には膨大な数の自動車が走っています。これを電気自動車に置き換えていくと、
  その持っている電力は相当量になります。そうなれば、災害時に停電しても、計画停電があっても
  簡単に乗り越えることができる。

  気仙沼あたりは大火事になりましたが、実は自動車のガソリンが爆発したのが始まりです。
  だから防災上の意味も含めて、全部電気自動車に置き換えていけばいい。電気自動車は爆発しませんから。

  それどころか、電気はインフラの中で一番早く復旧します。

  震災後、ガソリンが手に入らなくてみんな困ったことがありました。
  
  もし電気自動車だったらなんにも困らなかったと思います。電源だけ無事であれば、充電して
  走れたわけですから。日産と三菱が一歩進んでいますが、自動車業界にとっては、チャンス到来です。

  お金の使い方にもセンス・オブ・プロポーション(重要か否かを見極める能力)が大切です。

  ある品物にこの金額っていう、程よい分配割合があるだろうと思うわけです。世の中には大した給料を
  とってなくても、何十万円もするバッグを欲しがるような人もいますが、おかしな話だと思います。

  収入が20万円しかないなら、バッグは8000円でいいのです。物を持ち運ぶ機能は変わりません。

  洋服でも、ジャケットが欲しいなと思ったときに、1着ではなく3着買う。自分の懐にそれほど痛くないという
  
  程度のジャケットを3着買いなさいと。ちなみに僕が今日着ているセーターもユニクロのものです。

  外食をするのでも、1週間それと同じ金額のものを食べ続けても、やりくりが苦しくならないかを
  よく考えてみてください。人によっては1000円かもしれない、ある人は5000円かもしれない、
  大金持ちの人だったら10万円かもしれない。毎日毎日その店で食べ続けて、毎日1500円ずつだったら
  いいやと思えるのであれば、それはセンス・オブ・プロポーションに適っている。

  そんな生活を僕はずっと実践しています。

  お酒も、へべれけに酔っ払うまで飲むようではだめです。酒を飲むなとは言いませんけれど、
  定量飲みというのが大事。ビールだったらコップに1杯とか、日本酒なら1合とか、ワインはグラスに1杯とか。

  それを最大限に楽しむようにしたいですね。量で楽しむんじゃなくて質で楽しむ。

  安い酒をがぶがぶ飲むんじゃなくて、おいしいのをちょっとだけ飲む。そういう暮らしのほうが豊かだろうなと
  思います。

  食生活でも、脂っこいものを夜中に食べるとかは厳に謹んで、できるだけバランスの取れたよい食事と、
  コンスタントな運動をきちっとやっていく。そしてなによりもまず完全禁煙。

  後になって、あのときタバコをやめておけばよかったとか、こんな食生活でまずかったと思っても、
  それがために肺ガン・脳梗塞・心筋梗塞になってから後悔しても遅いんです。なる前に自分で改める。

  病気になるといろんな意味でクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)が低下してしまいます。

  何かやろうと思ってもできない。家族にも迷惑がかかる。仕事もなく、収入も失われる。

  健康問題は人生の最大のリスクです。40歳を過ぎたら、それまでの生活を総点検したほうがいいですね。

  意識して「こう自分の人生を組み立てていくんだ」という合理性を持たないといけません。

  お金の使い方でも「これはまずい」と思ったら「改めるに躊躇することなかれ」。まず、行動してください。

  ■ いま考えるべき「終活」とはなにか

  いま僕が提唱しているのは、貯蓄の反対の「減蓄」というものです。これからは「減蓄家」という肩書を使おうか
  と思っています。だいぶ資産が増えて、持っているものも増えてきた。

  だから、手持ちの資産を順次処分しつつあるんです。それを死ぬまでに使い切って死にたい。資産を残しても、
  死んで持っているわけにはいきませんし、残された子供が相続争いするのが関の山です。

  これぞ究極の節約じゃないかと考えています。

  投資の中で一番確実なのは、子供への投資です。子供が1人前にプロフェッショナルとして生活していける
  教育を親が与えてやる。そこさえきちんとやっておけば、親が死んでしまった後でも、子供たちはしっかりと
  独立ができる。

  親の財産をあてにしなくてすむのです。

  死ぬまでに何をするかという“終活”について皆さんの前で話す機会が最近ありました。いつ死ぬかは誰にも
  わかりませんし、今の日本はこれから先が読めない時代になりました。だからこそ自分がどうしたいかを
  明らかにする。惰性で暮らすのではなくて、今の時点でビジョンを立てておくことが大切です。

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  【作家:林 望】
  1949年、東京生まれ。作家。国文学者。慶應義塾大学大学院博士課程修了。
  ケンブリッジ大学客員教授、東京藝術大学助教授等を歴任。専門は日本書誌学、国文学。
  著書に『イギリスはおいしい』『節約の王道』『「時間」の作法』など多数。
  『謹訳 源氏物語』は源氏物語の完全現代語訳、全10巻。

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